当院のむし歯(虫歯)治療への考え方
根本にあるのはMI(ミニマルインターベンション)
MI(ミニマルインターベンション)とは、最小限の侵襲という意味です。
これは、歯を削る量を必要最小限に抑え、できるだけ天然の歯を大きく残す・神経を残すことで、その歯の健康を維持するという考え方です。念のため大きめに削るということはせず、虫歯部分だけを丁寧に削ります。
削除量が少なくなることで、治療の際の痛みも軽減されます。
精密な根管治療で歯を残す
重度の虫歯によって、どうしても抜歯を避けられないというケースは確かに存在します。
しかし当院では、他の歯科医院でそう告げられたケースであっても、患者様がご希望される限り、マイクロスコープやラバーダムを活用した精密な根管治療で歯を残すために最善を尽くします。
もちろん、抜歯をするよりも時間・費用がかかることですので、そういったことをご説明した上で、患者様に最終的な判断をしていただきます。
再発させないための治療
虫歯を治療してお帰りいただくだけでは、かなりの確率で再発します。
当院では、お口の状態のチェック、患者様とのお話の中で虫歯の原因をできる限りはっきりとさせ、その対策をアドバイスすることで再発の予防に取り組みます。
また、より再発のリスクが抑えられる治療として、CAD/CAM冠による治療、セラミック治療にも対応します。
むし歯(虫歯)を銀歯で治した場合の歯の寿命は約5年半・約50%が再治療に
ある程度進行した虫歯を治療する際、使用する詰め物・被せ物の材料は基本的に「銀歯」または「セラミック」のどちらかから選ぶことになります。
ある調査によると、「銀歯で治した歯の寿命は約5年半で50%が再治療になる」ということ報告されています。この50%には、銀歯そのものが劣化して使えなくなったケースと、虫歯が再発して再治療が必要になったケースが含まれています。
金属は、唾液と触れることで溶け出し、形が少しずつ変化します。天然歯とのあいだに隙間が生じ、汚れが溜まりやすくなります。加えて、表面に汚れが付着しやすいという性質を持つため、どうしても虫歯、そして歯周病のリスクが高くなってしまいます。
虫歯治療をする際には、上記のようなデメリットを解消できる「セラミック」をできる限り選択されることをおすすめします。自費診療となりますが、長く健康で美しい歯を維持できることを考えると、費用をかける価値のある治療だと当院は考えます。
CAD/CAM冠にも対応しています
前歯から第一大臼歯までの治療が保険適用で受けられる白い被せ物「CAD/CAM冠」にも対応しております。
審美性・機能性ともにセラミック治療には劣りますが、金属アレルギー、歯や歯茎の変色の心配はなく、銀歯と比べて虫歯・歯周病リスクが抑えられます。
費用面でセラミック治療が難しいという場合には、こちらもご検討ください。
進行別の当院で行うむし歯(虫歯)治療
虫歯の進行のレベルに応じて、症状、治療法は異なります。
虫歯の進行 | 症状 | 治療法 |
---|---|---|
C0 ごく初期の虫歯 |
|
歯を削らずに、適切なセルフケア+フッ素塗布で治せることも。 ブラッシングやフッ素塗布など予防歯科 |
C1 エナメル質に穴があいた虫歯 |
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歯を削り、レジンを充填。美しく仕上がるダイレクトボンディングにも対応。 レジン ダイレクトボンディング |
C2 象牙質に達した虫歯 |
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歯を削り、インレーを詰める治療が基本。クラウン、MTAセメントが必要になることも。 小さければ、レジン充填、ダイレクトボンディングでも対応可。 レジン ダイレクトボンディング インレー・クラウン MTAセメント |
C3 歯髄に達した虫歯 |
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根管治療の上、クラウンを取り付ける治療が基本。 根管治療 |
C4 歯の根に達した虫歯 |
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多くは抜歯の対象となる。その後、ブリッジ、インプラント、入れ歯の治療が必要。 抜歯 ブリッジ インプラント 入れ歯 |
そもそもむし歯(虫歯)はなぜできるのか?
虫歯がどのようにしてできるのかを知っておくことで、より予防に取り組みやすくなります。
1虫歯菌の感染
生まれたばかりの赤ちゃんのお口には、虫歯菌が存在しません。
その後、主にご家族から感染し、お口の中に棲みつきます。
防ぐためにできること
- 親から子への感染を防ぐ
- 食器を共用しない
- 食べ物を冷ますフーフー、唇同士のキスをしない
2虫歯菌と糖質との出会い
ミュータンス菌、ラクトパチラス菌といった虫歯菌は、砂糖などの糖質をエサにして繁殖し、プラークを形成します。
防ぐためにできること
- 甘いものなど、糖質を多く含むものを摂り過ぎないようにする
- 定期健診、丁寧なセルフケアなどで虫歯菌の数を減らしておく
3時間の経過
虫歯菌が酸を出しても、唾液の再石灰化の作用によって、溶け出しをある程度は防ぐことができます。
しかし虫歯菌が酸を出し続けると、再石灰化が追い付かなくなり、歯の溶け出しが進みます。
防ぐためにできること
- 食べたらすぐに歯を磨く
- ダラダラと時間をかけて食べない
- よく噛んで唾液の分泌を促す
むし歯(虫歯)を放置するとどうなるのか?
虫歯を放置すると、どのようなことが起こるのでしょうか?
痛みが増す
何もしていない状態でもズキズキと痛むようになります。
食事を楽しめなくなる
痛みによって十分に噛めず、食事の楽しさが失われます。
費用・時間のかかる治療が必要になる
根管治療、あるいは歯が失われてしまえばインプラント、入れ歯、ブリッジによる治療が必要になります。
いずれも、通常の虫歯治療と比べて、費用・時間がかかります。
審美性が低下する
銀歯が必要になったときはもちろんですが、セラミック治療やインプラントといった“美しく仕上がる治療”であったとしても、やはり健康な天然歯ほどの美しさは取り戻せません。
口臭が強くなる
誰にでもある程度は口臭がありますが、重度の虫歯・歯周病になると、口臭がさらに強くなったり、独特なにおいを放つようになります。
顔貌の変化
歯を失ってからさらに放置した場合や、入れ歯・ブリッジで治療した場合には、顎の骨の吸収が進み、顔貌に悪影響を及ぼします。
むし歯(虫歯)治療Q&A
虫歯になりやすい人となりにくい人の違いはなんでしょうか?
虫歯になりやすい・なりにくいというのは、プロフェッショナルケア・セルフケアの質、虫歯菌の数、唾液の量・質、食習慣、遺伝、歯並びなど、さまざまな要素が絡み合って決定されます。
つまり、歯磨きができているから大丈夫、というようには言えないわけです。歯科医院を受診し、総合的なケア・指導を受けることが、虫歯の効率的な予防につながります。
初期虫歯は治療した方がいいのでしょうか?
お口の健康にとってもっともよいのが、「虫歯にならないこと」です。そしてその次にくるのが「初期虫歯のうちに治療すること」です。
初期のうちに治療することで、削る量が少なくなり、歯の健康・強さを守ることができます。治療期間も短く、痛みも少なく、見た目も損なわれにくいわけですから、初期虫歯を放置するメリットはありません。
また、ごく初期の虫歯であれば、削らずに「丁寧なセルフケア+フッ素塗布」で治せることもあります。歯を削らないため、再発のリスクもいっそう抑えられます。
虫歯を放置していることで頭痛を引き起こすことはあるのでしょうか?
虫歯を放置していると、何もしていない状態でも痛みが生じるようになります。歯磨き、飲食の際には、さらに痛みが強まります。仕事、家事、学業など、さまざまな日常生活に支障をきたします。
これが大きなストレスとなり、緊張型頭痛を引き起こすことがあります。歯の痛みとともに頭痛にお悩みの方は、できるだけ早く虫歯を治療してください。