歯並びが改善されると、口腔はもちろん、全身へのさまざまな好影響が期待できます。 具体的にどのような好影響がもたらされるのか、解説していきます。
「歯並び」や「噛み合わせ」が全身の健康にかかわることも・・
歯並びや噛み合わせは、口腔だけの問題のように見えて、実はそれらを改善することで口腔以外への好影響、つまり全身への好影響が期待できます。
もちろん、お子様のうちに歯並び・噛み合わせを改善しておくのがベストではありますが、大人になったからといって遅すぎるということはありません。今まで気にしていなかったという方、矯正治療に踏み切れなかったという方も、口腔・全身の健康のためにも一度歯並びを診てもらい、必要であれば矯正治療を受けることをおすすめします。
「噛み合わせ」「歯並び」はどうして大切なの?
噛み合わせや歯並びが乱れていることで、以下のようなことが起こりやすくなります。反対に、噛み合わせ・歯並びを改善することで、そのリスクを低減することが可能です。
むし歯・歯周病
歯並びが乱れていると、食べ物が詰まりやすく、また歯ブラシが届きづらくなるため、虫歯や歯周病のリスクが高まります。また噛み合わせの乱れは、偏った歯・歯茎に負担をかけることになり、一部の歯のすり減りが早くなったり、歯茎で炎症を起こしたりといったことが懸念されます。
消化器官への負担
前歯で食べ物を噛み切る、噛み切ったものを奥歯ですり潰すという機能がうまく働かず、大きなかたまりのまま飲み込むことで、胃腸への負担が高まります。消化不良を起こすこともあります。
からだのバランスの乱れ
主に噛み合わせの乱れによって、顎まわりの筋肉の左右の均衡が崩れ、からだのバランスが乱れることがあります。
からだのゆがみ・痛み
顎への偏った負担は、肩や腰などのゆがみつながり、肩こりや腰痛、頭痛などの不定愁訴を引き起こすことがあります。
ストレス
歯ぎしりの原因は未だはっきりと解明されていませんが、ストレスの解消のために行われるものではないかと言われています。しかし、噛み合わせが乱れた状態で眠っている間に歯ぎしりをすることで、余計にストレスが増してしまうことがある、とされています。
顔つきにも影響することも?
一般に、左右差がないほどお顔は美しく見えます。しかし、歯並び・噛み合わせの乱れによって左右どちらかの顎に偏った負担がかかると、筋肉・骨格のバランスも偏り、片側が大きく発達するなどして、顔貌に左右差が生まれることがあります。
歯並びが悪くなるのは先天的?後天的?原因は?
矯正治療が全く必要なく、自然にきれいな歯並びが形成される方もおられます。なぜ、歯並びの良い人・悪い人がいるのでしょうか。
①人種・民族的な特徴
日本が属する東アジアの人びとは、歯の大きさに比べて顎が小さい傾向にあります。
親から子への遺伝も、ここに含まれます。
②成長過程での異常
やわらかいものばかり食べている、飲み込む癖がついているといったことから、顎が十分に発達せず、歯が並ぶスペースが不足してしまうことがあります。
③生活習慣
指しゃぶり、舌で歯を触る癖、口呼吸、頬杖などを原因として、歯並びが乱れてしまうことがあります。
どのような生活習慣が歯並びに影響しているの?
口呼吸
口を閉じる筋肉を使う時間が短かったり、舌の位置が悪くなる(後方に落ちる)ことで、歯並びが乱れることがあります。
指しゃぶり
指をしゃぶることで前歯に不正な力がかかり、出っ歯や開咬などの原因となることがあります。特に4歳以上の指しゃぶりは、歯並びに与える影響が大きいと言われています。
頬杖
下顎の位置をズラしたり、発達を妨げる原因になることがあります。
舌癖(ぜつへき)
舌で前歯を押したり、前歯で歯を噛んだりする癖のことです。指しゃぶりと同じように、歯並びの乱れの原因になることがあります。
悪い姿勢
歯並びの乱れが身体のバランスの乱れにつながることがあるように、不良姿勢が歯並びに悪影響を与えることがあります。
爪を噛む癖
子どもにも大人にも見られる癖です。弱い力であっても、慢性的に負荷がかかることで、歯並びを乱してしまうことがあります。
柔らかいものばかり食べる
特にお子様の場合、柔らかいものばかりを食べていると、顎の発達を妨げる原因になり、歯がきれいにならぶスペースを十分に確保できないことがあります。
片方の歯ばかりで噛む癖がある
片方の顎ばかりが発達したり、筋肉が大きくなることで、お口の左右のバランスが崩れて歯並びが乱れてしまうことがあります。
歯周病・虫歯(乳歯の虫歯)
歯周病は、進行すると顎の骨を溶かします。このことによって、顎の骨に支えられる歯並びも不安定になってしまいます。
また、虫歯によって乳歯を失ってしまった場合には、生え替わりの順番が乱れる原因になり、永久歯の歯並びが悪くなることがあります。
「歯並び」「噛み合わせ」が悪くなったものを治すには?
歯並びが悪くなるのを防ぐためには、上記のような生活習慣を改める必要があります。ただ、すでに悪くなってしまった歯並びが自然に良くなるということはありません。 歯並びの悪化をしっかりと食い止め、さらに良くしていくためには、生活習慣の改善に加えて、歯科医院での矯正治療が欠かせません。
矯正治療にもいろいろな種類があります
当院では、数種の矯正治療をご用意しており、患者様の年齢、顎や歯並びの状態、そしてご希望に応じて、適切な治療法をご提案しております。
他の歯科治療と比べても治療期間が長く、費用もかかる治療ですので、丁寧にカウンセリングを行い、ご納得のいく選択をしていただければと思います。
こどもの矯正治療
「急速拡大装置」
上顎の成長を促進する装置です。当院では、「ハイラックス」と呼ばれる急速拡大装置を採用しております。
上顎の適切な発達に加え、鼻の通りの改善も期待できます。
「上顎前方牽引装置」
上顎の成長を促しながら、下顎の成長を抑制する装置です。少し大げさな見た目をしていますが、特に10歳以下のお子様の治療で高い効果を発揮します。
就寝中にのみ使用するタイプです。
おとなの矯正治療
「ワイヤー矯正(表・裏)」
ブラケットを歯に取り付け、そこに通したワイヤーの力で歯を動かす装置です。
通常は歯の表側に取り付けますが、当院では裏側に装置を取り付けるワイヤー矯正にも対応しております。
「インビザラインGo(マウスピース矯正)」
前歯の矯正治療に特化したインビザラインです。
通常のインビザラインとほぼ同じように使用できます。治療の対象となるのが前歯のみであるため、治療期間が短く(半年~1年ほど)、また費用も抑えられます。
当院所有のスマホにインストールされたアプリで口腔内を撮影すると、その場で治療の対象となる歯並びかどうかが分かります。
「インビザライン(マウスピース矯正)」
マウスピース型の矯正装置において、世界トップシェアを誇ります。
薄く透明なマウスピースを1~2週間ごとに交換していくことで歯を動かします。ワイヤー矯正と比べると痛みが少なく、何より目立ちません。
食事・歯磨きの際には取り外せるため、食べ物が装置に詰まる・歯磨きが難しいということもありません。
ただし、1日20時間以上の装着が必須です。
歯並びが改善されると、口腔はもちろん、全身へのさまざまな好影響が期待できます。
具体的にどのような好影響がもたらされるのか、解説していきます。