お子様が学校で受ける歯科検診の結果は、親御様のお手元にも届きます。
その中で、お知らせの用紙を見て、「歯並び(歯列)」について指摘されたご家庭もおありかと思います。「虫歯」と比べるとどこか、“そのうちでいいのかな”という印象をもたれがちな歯並びですが、放置して自然に改善するということはほとんどありません。
受診をすすめられている場合はもちろんですが、経過観察の場合も、お早目に歯科医院にご相談されることをおすすめします。
※学校の歯科検診は、あくまでスクリーニング検査です。特に指摘がなかった場合にも、少しでもご不安が残るのであれば、お時間のあるときに歯科医院を受診し、以降定期的な検診・予防に取り組まれるのが理想です。
学校の歯科検診で歯並びを指摘された為、歯科医院への相談を検討されている親御様へ
歯科検診の結果は、親御様もきちんと確認しておきましょう。
また、できれば前年の結果と比較して、受診の目安にされるとよいかと思います。
学校の歯科検診では、主に以下のような項目が確認されます。
学校の歯科検診での主な検診内容
虫歯の有無
虫歯の有無が確認されます。
学校によって記録の方法が異なりますが、多くは虫歯の本数が書かれています。
歯茎の炎症の有無
歯茎の炎症の有無が確認されます。
大人がなる歯周病のようなことはありませんが、汚れ(磨き残し)、傷などを原因として炎症が起こることがあります。
歯並びなどの状態
歯並びのほか、噛み合わせ、顎関節の状態などが確認されます。
乳歯から永久歯への生え替わりの状況
乳歯から永久歯への生え替わりの時期には、それぞれの歯でおおよその目安があります。
生え替わりの時期を迎えている乳歯などを指摘されることがあります。
かかりつけの歯科医院に相談したけど、「様子を見ましょう」と言われた方へ
矯正相談をしたとき「様子を見ましょう」と言われるのはよくあることです。お子様は、まだ顎の発育段階にあるため、矯正治療の開始は早ければ早いほどいいというものではないためです。信頼できる先生であれば、その指示に従いましょう。
しかし、次のような症状が見られる場合には、今後、歯並びが乱れる可能性がやや高いと言えます。逆に、これらの症状(癖・習慣)を改善しておくことで、歯並びの乱れを予防することが可能です。
様子見と言われたけど、このような症状はないですか?
鼻炎がある
- 鼻が詰まって口呼吸になってしまう
- よく唇が乾燥している
- 集中力が散漫になる
- 耳鼻咽喉科に通院している
いびきをかく、あるいは寝ている間、うつ伏せになる(カメのようになる)
姿勢が悪い
いつも口がぽかんと開いている
歯並びにアプローチすると付随して改善すると言われています
7歳以上のお子様が荒い寝息をたてている、いびきをかいているという場合には、睡眠の質が十分でない可能性があります。
成長期の睡眠の障害は、成長ホルモンの分泌を低下させるため、成長・発達の障害、記憶力低下、学習能力低下といった高次脳機能への悪影響が懸念されます 。
荒い寝息、いびきなどは、歯並びへのアプローチによって二次的に改善できることがあります。
歯並び矯正を開始する推奨時期について
お子様の矯正治療を開始するタイミングは、現在の歯並び、顎の成長具合、お口まわりの筋肉の発達具合、習癖の有無などにより異なります。
なお、歯並び矯正は何歳になってもできますが、歯を抜いて行う歯並び矯正にならないために、
・6歳~8歳の間(小学校低学年)
・大人の歯が6本生え変わった頃
の歯並び矯正を推奨しております。
もちろん、これより早くご相談くださっても結構です。
★推奨★小学校矯正
対象年齢:6歳~8歳ぐらい
「見た目をキレイに並べる」ということが目的ではなく、生えてくる歯のスペース不足を補う『顎の成長の手助け』のための矯正治療(Ⅰ期治療)
I期治療について
この時期に矯正治療を開始することで、抜歯を回避できる可能性が高まります。また、将来的な成人矯正が簡単なもので済んだり、必要なくなるといったことも期待できます。
- 出っ歯(上顎前突)
- 歯列がガタガタ(叢生)
- 上下の前歯が触れない、重ならない(開咬)
- 上下の前歯の中心がズレている(交叉咬合)
など歯並びの乱れ全般。
主な治療内容
- 急速拡大装置
- ワイヤー矯正(必要に応じて)
- インビザラインファースト
など。
※都度、作成する装置は全て含まれています。
成長期+永久歯列の矯正治療(フルコース)
対象年齢:9歳~12歳
- Ⅰ期矯正終了
- 経過観察後にⅡ期矯正を希望された場合
歯が生えるスペース不足などで最終的な治療が必要な場合、2回目の診断を経て、第Ⅱ期治療「おとなの歯並び矯正」に移行します。
学校の歯科検診を、お子様の心身の発達をサポートするきっかけに
歯並びはどうしても、その見た目の良し悪しばかりが注目されます。しかし、噛む機能、喋る機能とも大きなかかわりがあることを忘れてはなりません。特にお子様は、喋る・噛むといったことを毎日練習している段階です。
歯並びが乱れていると、そういった機能をうまく鍛えることが難しくなります。おおげさではなく、身体や社会性の発達にも影響することがあります。
私たちはお子様に対して、「元気に明るく頑張ってほしい」と願います。そういった応援をするのであれば、元気に明るく頑張れるお口の環境を用意してあげなければなりません。
学校の歯科検診の結果を親御様・歯科医院が活かすのも、その手段のうちの一つです。せっかく受けるのですが、うまく活用し、お子様のお口の環境改善につなげていきましょう。