お子様に見られる指しゃぶりの癖や歯ぎしりなどが歯並びに影響したり、あるいは歯並びが悪いことでいびきが生じたりといったことがあります。
それぞれがどのような関係にあるのか詳しく解説していきます。
指しゃぶり(吸指癖)と歯並びの関係
小さなお子様の指しゃぶりは、空腹や寂しさを紛らわせるために行われます。心の安定を維持するための行動ですので、指しゃぶりが見られたからといって、すぐにやめさせないでください。
ただし、年齢を重ねても指しゃぶりが続く場合には、歯並びへの悪影響が懸念されます。
指しゃぶりが与える歯並びへの影響
前歯が嚙み合わなくなる・・(開咬)
噛んだ状態でも上下の前歯が触れない・重ならない「開咬」呼ばれる歯並びの乱れです。
口呼吸、口腔の乾燥、奥歯に偏った咀嚼、発音の支障などの原因になります。
出っ歯になる・・(上顎前突)
上の前歯が、下の前歯より大きく前に出るのが「出っ歯(上顎前突)」です。
上の前歯や口腔の乾燥、奥歯に偏った咀嚼、発音の支障などの原因になります。
上下の歯の中心のずれができる・・(交叉咬合)
上の前歯と下の前歯の中心が、左右にズレているのが「交叉咬合」です。
噛み合わせの偏りを生み、顔の歪み、身体の歪みへと波及することもあります。
指しゃぶりを卒業する時期や治す方法
歯並びの乱れのリスクを考えたとき、何歳くらいまでに指しゃぶりをやめさせるべきなのでしょうか。その方法とあわせてご紹介します。
3歳まで大丈夫?様子を見てあげましょう
先述の通り、指しゃぶりはお子様にとって心の安定を維持する行為と言えます。3歳頃までは、強くは指摘せず、様子を見てあげてください。多くのケースで、3歳くらいまでに自然に卒業します。
長時間の指しゃぶりには注意してあげましょう
ただし、3歳以下であっても、1日のうち長時間(目安は合計6時間)以上指しゃぶりをしている場合には一度ご相談ください。寝ているあいだずっと指をくわえているお子様も注意が必要です。
おしゃぶりって歯並びに影響するの?
衛生上の問題などから、指しゃぶりをやめさせる代わりに、おしゃぶりを与えるというご家庭もあるでしょう。ただ、今のところ明確な統計がなく、おしゃぶりであっても、指しゃぶりと同様に、歯並びに影響する可能性があります。おしゃぶりを3歳までに手放せないという場合にも、一度当院にご相談ください。
大切なのはご家族みんなで温かくサポートしてあげましょう
叱りつけたり、急に手を掴んだりして指しゃぶりをやめさせようとしても、なかなかうまくいきません。そればかりか、お子様に大きなストレスを与えることになりかねません。
指しゃぶりをやめさせるためのポイントをご紹介します。
大きな声、大きな動作で叱らない
お子様は、無意識に指しゃぶりをしています。大きな声、大きな動作にびっくりしていっときは中断するでしょうが、なぜ指しゃぶりをしてしまうのがご自身でも分かっていないため、かえってストレスになることがあります。
指摘するときには、優しい声で、落ち着いて、言葉にして伝えましょう。
眠るときに指しゃぶりをするお子様には添い寝をしてあげる
指しゃぶりは、空腹や不安を紛らわせるために行われます。ですので、少しでも安心して眠りにつけるよう、添い寝をしてあげてください。保護者様の手のひらを身体に置いてあげる・トントンと叩いてあげるのも有効です。
自分の誕生日、弟・妹の誕生などのきっかけをうまくつかう
お子様ご自身の誕生日であったり、弟さん、妹さんの誕生をきっかけとして、「もうお兄さん・お姉さんだから今日から指しゃぶりやめるの頑張ろうね」と伝える方法です。すぐにやめられなくても、お子様の意識が変わることが期待できます。
ミライノデンタルクリニックでも、お子様の指しゃぶりの卒業をサポートいたします。指しゃぶりがやめられるか不安、4歳になったけどやめられないというときには、一度当院にご相談ください。
いびきと歯並びの関係
いびきは、大人だけでなく、お子様にも見られます。いずれの場合も、いびきの原因は、気道が狭くなっていることにあります。先天的に狭いケースもありますが、そこには歯並びも関係しています。
いびきをかきやすい人とかきにくい人っているの?
いびきをかきやすい人の特徴
顎の成長が不十分であると、歯並びが悪くなりやすく、また顎・舌の筋肉が発達しにくいため、舌が後方に位置し、気道を圧迫します。そのため、いびきをかきやすくなります。
その他、肥満気味の方、アデノイドや扁桃の肥大がある方も、気道が塞がれていびきをかくことが多くなります。
いびきをかきにくい人の特徴
顎がしっかりと成長し、歯並びがきれいな人はいびきをかきにくいと言えます。多くのケースで顎・舌の筋肉が十分に発達しているため、舌が後方に落ちることなく、気道も確保されます。
将来いびきのリスクを下げるためにも小児矯正歯科治療を
“いびきをかいやすい人の特徴”の項目をご覧になっていただくと分かりますが、いびきにはさまざまな原因があります。その中で、やはり歯並びと同時に顎の成長も、いびきの原因になり得る要素です。特に顎の成長が根本的な原因となっているため、そのコントロールが可能である小児矯正が、いびきのリスクを下げるために重要だと言えます。
いびきってどうしてするの?
そもそもいびきとは、なぜ、どのようにして起こる減少なのでしょうか。
まず、いびきには以下のようにいくつかの原因があります。いずれも、気道を狭めたり、塞いだりすることでいびきを発生させます。
いびきの原因はさまざま
- 顎の成長が不十分であり、口まわりの筋肉が発達しないことで、舌が後方に位置し気道が狭くなる
- 肥満によって首回りに脂肪がつき、気道が狭くなる
- アデノイド肥大、扁桃肥大などによって、気道が狭くなる
- 先天的に気道が狭い
いびきが引き起こす怖さ
いびきの種類について
単純性いびき
アレルギー性鼻炎、風邪などを原因として、鼻が詰まって起こるいびきです。
言い換えると、“鼻詰まりによる一時的ないびき”ということになります。
睡眠時無呼吸症候群に発展することのあるいびき
顎の成長の不十分、肥満、アデノイド肥大、扁桃肥大などによって、慢性的に気道が狭いために起こるいびきです。先天的に気道が狭いケースもこちらに含まれます。すべてが睡眠時無呼吸症候群につながるわけではありませんが、いずれも自然に治るものではありません。放置していると、いびきに加え、気道が一時的に完全に塞がり無呼吸状態に陥ることがあります。
ミライノデンタルクリニックでは【いびき・無呼吸外来】も行っています。
歯ぎしり(ブラキシズム)と歯並びの関係
歯ぎしりの際には、日中では考えられないような力が発生しているため、歯並びの乱れの原因となることがあります。
歯ぎしり(ブラキシズム)は起こす影響は歯並びだけじゃない
歯
歯に強い力がかかるため、歯のすり減りの加速、知覚過敏、歯の破折、詰め物・被せ物の脱落などを起こすことがあります。
歯周組織
歯の下にある歯周組織にも、当然ながら大きな力が加わり、炎症を引き起こしたり、歯周病を悪化させたりといったことが懸念されます。
顎関節
顎にも大きな負担がかかり、顎関節症の原因となることがあります。
全身
顎関節のバランスが崩れることで、身体の歪みへとつながることがあります。肩こりや腰痛、頭痛といった、一見口腔とは関係のなさそうな部位で不定愁訴を招くこともあります。
その他
舌痛症や倦怠感、むち打ち症状の原因になることがあると言われています。
歯ぎしりってどうしてするの?
歯ぎしりは、なぜ起こるのでしょうか。
歯ぎしりの原因はさまざま
歯ぎしりは、未だその原因がはっきりとは解明されていません。ただし、ストレスの解消のために生じる生理的な現象なのではないか、と言われています。その他、眠りの浅さ、飲み過ぎ、喫煙、カフェイン摂取なども、原因の一つ数えられることがあります。
歯ぎしりの種類
ギリギリ型(グラインディング)
上下の歯を、ギリギリと強く擦り合わせる歯ぎしりです。
食いしばり型(クレンチング)
擦らずに、縦方向に強く食いしばる歯ぎしりです。日中、集中しているとき、緊張しているときに起こることもあります。
カチカチ型(タッピング)
上下の歯を、カチカチとぶつけ合う歯ぎしりです。それほど大きな力はかかりませんが、癖になってしまうと、このタイプでも歯が欠けたりすることがあります。
歯ぎしり・食いしばりが顎関節症を引き起こすこともあります
顎関節症とは
歯ぎしり、食いしばりが顎関節症の原因になるケースは珍しくありません。歯ぎしりや食いしばりによって顎の骨、筋肉に大きな負担がかかり、口を開けると痛い、顎を動かしたときに異音をきたす「顎関節症」へと進展することがあります。
顎関節症が引き起こす症状
頭痛
顎の負担が頭部にまで波及していた場合には、頭痛が生じることがあります。
肩こり
顎の筋肉と方の筋肉はつながっているため、顎に大きな負担がかかることで、肩こりのリスクが高まります。
耳の痛み
耳が痛むこともあります。これは、顎の痛みがそのまわりの器官にまで波及して感知されて起こるものと思われます。